2017年4月10日月曜日

ブログ【南極と再エネ】(2/2)

(つづき)

太陽光発電がだめなら、風力発電はどうでしょうか。


昭和基地付近の年平均風速は6.5m/sです。数字だけ見れば北海道や東北よりも高い水準で風力発電に適しているようにも思えますが、「平均」というのが曲者で、夏は風が弱すぎて使えず、冬のブリザードは強すぎて使えませんのでこのエリアは風力発電に全く向きませんので、大陸内でほかに丁度いい風況の地点を探して発電所を設置しなくてはなりません。

では、発電した電気を基地まで運ぶにはどうしたらいいでしょうか。
電柱・電線の設置は困難なので蓄電するしかないのですが、普通の蓄電池は気温が低すぎると溶媒が凍り機能しません。これを解決する最新技術が水素利用型蓄電装置です。

水素利用型蓄電装置の仕組みは以下の通りです。
①発電した電力を水分解装置に通じて水素を得る。
②溶媒(トルエン)に水素を添加し、メチルシクロヘキサン(MCH)に液体化させる
③MCHを容器に詰め基地に運搬
④MCHから水素を分離し、水素を軽油と混合してディーゼル発電機を駆動
まあ結局、ディーゼル発電機は使うのですが、消費燃料が格段に少なくて済むのです。

水素を利用した蓄電システムは太陽光発電とも相性がよいので、開発が進めば、いずれは雪国の太陽光発電所において夏場にたっぷり発電しておき、冬場はパネルを片付けてしまう、という運用もできるようになるかもしれませんね。


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