2016年6月2日木曜日

ブログ「ホウ素中性子捕捉療法Ⅱ」

(承前)
しかし、がんの再発を防ぐには正常細胞との間に入り込んだ肉眼では観察できないがん細胞への治療も行わなくてはなりません。

正常細胞には回復力というものがありますが、正常細胞への損傷が副作用につながってきました。

「BNCT」は、あるホウ素化合物(ホウ素化フェニルアラニン)が、がん細胞のみに集積される特性を生かした放射線治療です。

このホウ素化合物はエネルギーの低い中性子(熱中性子・熱外中性子)と高い割合で反応します。

周囲と熱平衡にある熱中性子反応すると、ホウ素化合物からα線が放出されます。

放出されたα線は、強力な殺細胞効果を持ちますが、その透過能力は低く、到達範囲は細胞1個分程度(9マイクロメートル)と、範囲が限定されます。

よって、がん細胞のみが死滅するのです。

すべてのがん細胞にホウ素化合物が集積するわけではないようですが、現在は治癒困難な脳の悪性神経膠腫(悪性グリオーマ)、悪性黒色腫(メラノーマ)などに、劇的に効果があるという報告がされています。

現在は最終治験段階ですが、太陽光発電が普及したように、これら先進医療技術が普及するためには医療業界のみならず、他業界の医療に対する理解も必要であると感じております。

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