【第一章 ~産みの苦しみ~ その⑧】
「ところで先輩・・」
切り出すタイミングに些かの躊躇はあった。どれだけMatsui愛を共有できたとしても、太陽光発電の用地に関しては権利と金銭に地元愛が結びつき、数時間のコミュニケーションだけで一気に結論を求めるにはギャンブル要素が多く、後日態勢を立て直して折衝する選択肢もあった。しかしながら、我に返って思い出したこの後の訪問件数の恐怖に、次に持ち越すという選択肢はかき消された。
「なんだ?酒がいいのかえ?」
そこじゃない・・確かに一日一本までと謳われるオロナミンCを短時間で複数本飲んでいることに抵抗がない訳でもないし、自分より一本多く飲んでいる好々爺の四本目は避けたい。
ここが勝負所と襟を正し、三点を追う九回裏ツーアウト満塁のバッターボックスへ歩を進めた。
~つづく~
平等院別館の太陽光発電から反射する西日が目に入り、はっと我に返った。40歳手前の中年と、古希辺りの好々爺が女子高生さながらのMatsui トークに時を忘れ、二人で空けたオロナミンCは合わせて5本を数えていた。6本目のドリンクを取りに立ち上がろうとする好々爺に、「ところで先輩・・」
切り出すタイミングに些かの躊躇はあった。どれだけMatsui愛を共有できたとしても、太陽光発電の用地に関しては権利と金銭に地元愛が結びつき、数時間のコミュニケーションだけで一気に結論を求めるにはギャンブル要素が多く、後日態勢を立て直して折衝する選択肢もあった。しかしながら、我に返って思い出したこの後の訪問件数の恐怖に、次に持ち越すという選択肢はかき消された。
「なんだ?酒がいいのかえ?」
そこじゃない・・確かに一日一本までと謳われるオロナミンCを短時間で複数本飲んでいることに抵抗がない訳でもないし、自分より一本多く飲んでいる好々爺の四本目は避けたい。
ここが勝負所と襟を正し、三点を追う九回裏ツーアウト満塁のバッターボックスへ歩を進めた。
~つづく~
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